大阪 北新地 すなくら 勇花
【人間国宝 中村富十郎さんを偲ぶT】
平成23年1月3日にお亡くなりになりました。享年81歳。ご子息の鷹之資ちゃん(11歳)娘さん愛子ちゃん(7歳) 尊い素晴らしい芸をお子さんに授けて、旅立たれたと信じて居ります。 中村富十郎さんと(左から二人目が勇花)
中村富十郎さんが上方花舞台にご出演して下さいました。私にとりまして大切な写真です。
第3回上方花舞台
中央・五代目中村富十郎、
【人間国宝 中村富十郎さんを偲ぶU】
思いかえせば司馬遼太郎先生の肝煎りで始まった“上方花舞台”第三回目“上方花舞台 花ぐるま義経記”松山善三さん作・演出に富十郎さんがご出演下さり、松山先生は「“きわめつけ”の義経になってもらいたいな」と、そして富十郎さんと云えば、花道を出てくる富十郎さんの知盛が目に浮かんでくる。どうしても知盛を踊って貰いたい。歌舞伎十八番のおいしいところをたっぷり踊っていただき、磨き抜かれた伝統芸を見ていただく。と云うことで私は毎回舞台すそや花道まで走って行って、節目正しい凛然とした卓抜な芸を拝見して居りました。 中村富十郎(船弁慶) 大和屋”富貴の間”にて1 大和屋”富貴の間”にて2
平成23年2月7日付の日本経済新聞夕刊「こころの玉手箱」で、能楽師片山幽雪さんの記事“弁慶を演じる富十郎さん しのぶ”を読みました。幽雪さんと富十郎さんとは60年余のお付き合い。演出家の武智鉄二さんが昭和20年代に歌舞伎の再検討公演「武智歌舞伎」を企画。富十郎さん・藤十郎さん方が出演され、指導を幽雪さんのご両親(父で能楽師博通や母の京舞井上流先代家元の愛子)が頼まれ、稽古にみえたのがご縁だったとの事。「平成23年1月の新橋演舞場の舞台に息子の鷹之資(たかのすけ)と出ます。観にいらっしゃい」。片山幽雪さんは鷹之資君の仕舞の稽古を頼まれていらっしゃって、舞台初日の日に行かれたが、富十郎さんは休演。楽屋に寄って鷹之資君に声を掛けた後、病床に見舞われたとの事。富十郎さんが片山幽雪さんとの貴いご縁を鷹之資君にしっかり継いでいらっしゃることが解り、たいへん慰められました。鷹之資君がすっくとした大人になって下さる様祈っています。
【人間国宝 中村富十郎さんを偲ぶV】
第43回大阪国際フェスティバル2001「フェスティバル歌舞伎舞踊」を10年前に行った、パンフレットが出て来ました。たしか、あまり歌舞伎等和ものにご縁のない人と見に行きました。そのような人にはとびっきり良いものを見せなくてはいけません。「なかなか、良いものだなぁ」と感心させなくては、「なんだ、つまらない」と思わせてはいけません。中村富十郎さん、中村吉右衛門さんがご出演!これは、見ておかねば!! そのパンフレットに富十郎の芸、渡邊保(演劇評論家)がよせられた文が良かった。全文ご紹介したいのですが、短く紹介させていただきます。富十郎さんがいかに素晴らしいか・・・ ・・・「富十郎は六代目菊五郎の芸の衣鉢を継いでいる。そこにこの人の芸の特徴、面白さがある」それを要約すると次の四点だろうと私(渡邊保)は思う。 第一に、富十郎の踊りは骨格がハッキリしている・・・この人の修行が本物だからである。 第二に、富十郎の踊りを見ていると、舞踊の基礎が能の舞にあることがハッキリわかる。・・・踊りの名人七代目三津五郎が能を見る事を教えたのもそのためにほかならない。富十郎の獅子の精は、すり足で進んでくるのが、風のようである。これが異常な迫力を生む。カマエにもスキがない。 第三に、イキがいい。イキつまり呼吸である。変身を可能にするのは、踊り手のイキ・・・呼吸の変化である。その変化が「間」のよさを生む。 第四に、描写がうまい。「鏡獅子」でいえば「濡れにぞ濡れし、鬢水の」というところで、お小姓弥生は後ろ向きスッと立って髪に手を当てて振り返る。天性のうまさである。 以上四点、富十郎の芸の特徴は、すなわち舞踊の芸の基本条件であろう。・・・ 富十郎は少年の頃、六代目(菊五郎)の舞台を見て歌舞伎役者を一生の仕事にする決心をしたという。武智鉄二も、また富十郎を六代目にしようと教育した。その富十郎が、六代目ゆかりの「茨木」をやる。旅行嫌いの私も大阪へいってみたい。と渡邊保さんの書いていらっしゃるものを読み、なるほど富十郎さんがどのように、なぜ素晴らしいのか、うまく表現して下さっています。 「茨木」人間国宝 中村富十郎
白髪の老女、実は渡辺綱に左腕を切り落とされた鬼、綱の赤子時代、誰よりも慈しんだ渡辺綱の伯母真柴に化けて、綱をだまして腕を取り返そうとたくらむ、実は茨木童子
だまされ怒った綱と鬼と大立ち回り まんまと綱をだまし 我が腕を取り返した
品のよい伯母真柴・老女から凄みのある鬼への変身、一切片手を封じた踊り。渡辺綱の英雄となった勇壮闊達な強さに秘められた優しさ、富十郎さん吉右衛門さん、とてもとても良かったです!この時吉右衛門さんは57歳だったのですねぇ。
今、フェスティバルホールは新しく建設中です。素晴らしい格調高いものに出来上がりますように祈っています。
中村吉右衛門
平成23年7月15日に嬉しいニュース!
中村吉右衛門さん(67歳)が重要無形文化在保持者に認定される。 “人間国宝”中村吉右衛門さん、Noblesse Obligeですね。 |